うちの家は広いです。
自慢じゃありません。子どもが二人いるので、それなりに広い、4LDKの一戸建てです。
ところが、その子どもが既に二人とも家を出て行ってしまっています。
子どもが二人いると、4LDKでもいっぱいの感じでした。
一人目が出て行って、あれ? と思うほど広さを感じました。
二人目が離れて、引っ越しを終えて帰ってきたら、人口密度が10分の1くらいになったように感じました。
怖いんです。広すぎて。
ぽっかりと空いた大きな空間に、これから二人きりで住まなければいけないのです。
ちょっと戦慄しました。ここまで広く感じるなんて。
その広い家に、これから当分一緒に住むであろう相方を見てしまいました。
虚無の空間の恐怖を分かち合おうと。
相方は、わたしを見て言いました。
「新婚に戻ったみたいだね (。・ω・。)ノ♡」
虚無の空間の前で… 満面の笑みを浮かべて。
その時、私は恐怖しました。
さっきとは別の意味で。
この人、根っからポジティブだ。
私、A型さそり座。芯から恐怖しました。
「そうするとさ、いろいろ考えないといけないよね。部屋の用途とか、寝室の様子とか。居間ももっと片付けて、リラックスできるようにして。いつもいるのは二人だけなんだから」
「…そうね」
それから、相方はものすごい勢いで家中の再構築をしています。
子どもたちがいなくなって、もう5年目になりますが、継続的に家の様子が変わっています。
そして今日は、ベッドを2階の寝室から一階の和室に移しました。
ベッドはダブルベッドです。相方の希望で…
これに布団を敷いています。
下がすのこなので、床に敷いていた時と違って布団が湿っぽくなりません。
床に敷いていた時は毎日上げないといけなかったのですが、そこは楽になりました。
とてもお安くて、耐荷重350kgです。
二人合わせても三分の一もいかないんですが、
「上で動くと、瞬間的にそれ以上部負荷がかかるんだよ。タイガーマスクで馬場さんが言っていた」そうです。知らんわ。
さて、本日の提案は、その堅牢性の高い、ごついベッドを2階から1階へ下ろす…
不安が叢雲のように湧き起こりましたよ。
「あのベッドを? 大変じゃない?」
「大変だけど、大丈夫だよ。時間は1時間半と見積もっている」
「そんなに短いの? でもこの暑い時期に…」
「暑いからだよ。寝るまでは1階をエアコンで冷やしていて、寝る時に2階を冷やすのはエコじゃないよね」
「それはまあ… そうだけど…」
「この家、広すぎるでしょ? 二人で住むなら平屋の方がいろいろいいんだよね。だから仮想的に、ここを平屋として住もうと思うんだ。どう?」
広すぎるというのは、わたしが5年前に恐怖と共に感じていたことです。
相方の家の再構築に、一緒に巻き込まれていて忘れていましたが。
「どうって… 具体的にどうするのさ?」
「基本、1階しかないような顔をして住むんだよ。2階は窓だけ開けて風を通しておいて。そうすれば1階は2階の部屋を断熱空間とすることで、普通より涼しくなるはず。子どもたちが戻ってきたときは、そこに泊まってもらえばいいし」
「基本、1階しかないような顔をして住む…」
「家のすべての機能を1階に集約するんだ。わくわくするね」
「…まあ、わからないことはない。理屈はわかる」
「OK。それじゃあ、今日移動しよう」
「きょう!?」
とりあえずついていって見ていると、ねじを4つ、電動ドライバーで外しました。
「これで分解完了」
ベッドの前後と、中央の足が分離しました。
「ベッドの前後はちょっと重いんで持っていくから、真ん中の足のところだけ持ってきて」
運んだものを組み合わせて、外したねじを今度は締め付けて。
組み立て完了です。
布団や何やらを運んで、まわりを少し片づけて。
けっこうすぐ終わりました。
完了まで1時間かかりませんでした。
「ね?」
ね? じゃないよ。まあ、その通り、短時間で出来たけど。
というわけで、居間の隣の和室に、ベッドを移しました。
どんどん暑くなっているこの時期、居住空間をしぼるのは確かに効率的です。
エアコンの電気使用量削減について、これから様子を見ていきます。
相方は、とても満足そうにベッドの設置状況を確認しています。
「ま、これで前よりアクセスかなり良くなったよね、ベッドへのさ」
相方、AB型牡羊座。わたし、今、芯から恐怖しています。
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