「親ペナルティ」という言葉が話題になっているようです。
「親ペナルティ」ということばが、「夫婦の感じる幸福度は、子どもを持つと下がる」と解釈されているようです。これは全くの間違いで、夫婦の幸福度と親ペナルティは関係ありません。
ペナルティを「罰則」のようにとらえていますが、ここでの意味は「ハンディキャップ」です。
親ペナルティは本来「Motherhood penalty」ということばで、就業において子どもを持つ母親が受ける理不尽な扱いを、理念ではなく現実の統計から導き出したものです。
子どもを持つ母親は、子どもを仕事より優先すると考えられるので、求職時や昇給などに不利益を被ることがあるという事象です。この子供を持つ母親と子供のいない母親の間の格差は、男女間の格差よりも大きい傾向があるそうです。
話題になっている話では、高年齢で母親になると親ペナルティが深刻であるように書かれていますが、実際は「Motherhood penalty」は若い年齢であるほど影響が深刻であるとされています。ここも理解が間違っているように思えます。
対になる言葉に、「Fatherhood penalty」ということばがありますが、これは子どもを持つことによって下がらないとされています。
すでにおわかりのことと思いますが、現在の社会は男性の育児への参加が進んできており、父親が育児求職をとると、遠方への転勤を強いる会社もあるようですので、今後は「Fatherhood penalty」による男性間の格差も大きくなっていくでしょう。
「Motherhood penalty」、「Fatherhood penalty」は理論があって導き出されたものではなく、現実の社会の状況から出た結果に付けたタグですので、これからの社会の変化によって変わっていくものです。
「今はこうやで~」を「だから子どもを持つのはリスク」と無理やり解釈するのはかなりネガティブな意図を感じてしまいます。
この解釈は、「独身だろうと母親だろうと子どもなんかよりも会社での仕事を優先しろ」という雇用者の論理に寄り添うものです。
展開しているのがビジネス業界御用達のところであるのも頷けます。
子どもを持つのが最善とは思っていません。子どもを持たない選択も尊重されるべきです。それは個人の意思で決めればいいことです。
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ここから先は個人の感想になりますが、確かに私は子どもを持つことでバリバリ仕事をしてたくさんのお金を稼ぐことはできませんでした。でも、20代、30代、40代と、子どもと一緒に過ごしてきた期間には、生涯年収の減少よりはるかに高い価値を感じています。
まあ、子育ては実際にはいろいろ面倒くさいし大変なんですが、今考えるといいことしかなかったように思えます。さいわい主人は母親の大変さを早々に理解してくれたので、苦労は半分、楽しみは10倍になったのもありがたかったです。
ここ、ちょっと含みがありますね。「早々に」と書きました。
最初はひどかったんですよ、うちの旦那も。
まあ、この件についてはまたどこかで書くかもしれません。