今週のお題「怖い話」
霊的なことでは怖い経験はないのですが、大学時代から就職後何年かオートバイに乗っていた時期があり、その間怖い経験をたくさんしました。
もちろん、オートバイを運転すること、オートバイで遠くに出掛けることはかけがえのない楽しい経験でしたので、バイク乗りの大変自慢と思って読んでいただければ幸いです。
凍った橋の上を走行
オートバイに乗り始めたのは大学2年の頃です。
原付免許を取って初めて乗ったバイクは、ホンダのMB50でした。
中古で買ったのですが、スタイルもエンジンの吹き上がり具合も女子大生が乗るにはかなり過激だったかもしれません。
その時の彼(今の主人)はカワサキのZ400FXに乗っており、ふたりであちこち走り回りました。
大学は仙台だったので、冬は普通に雪が降って積もります。
新聞配達のカブが、タイヤチェーンをつけて雪の中を走るような地域です。
そんな地方でも、雪の中や凍結した路面をバイクで走るのは大馬鹿ですね。
ある寒い日、それをやってしまいました。
橋の上を走行中、後ろタイヤがズルズル滑っていきます。
冷たい風が吹き抜ける橋の上が凍りかけているようです。
「急ブレーキ、急ハンドルはしないように…そろそろと進まないと…」
横をすり抜けていく車もあるので、細心の注意をはらって運転します。
わたしの後を走っていた彼が後から教えてくれましたが、
「後ろから見てても怖かった。隣の車もものすごく怖がっていたよ」
ごめんなさい、怖い思いをさせて。
冬のガソリンスタンドで洗車した時
原付免許から小型免許にグレードアップし、バイクもカワサキのAR125の赤を新車で購入しました。
身長150㎝のわたしとしては車高が高めで足つきが悪かったのですが、高回転でのエンジンの力強さが頼もしいバイクでした。
また寒い時期の話なのですが、ガソリンスタンドで給油のついでに洗車を始めてしまいました。
ところが気温が低かったので、バイクにかけた水が凍っていくのです。
みるみるバイクのブレーキディスクが凍っていきます。
こんな時に洗車したことを心から後悔しました。
溶けないと、ブレーキが掛からない… と思ったのですが、実際にブレーキをかけたら氷はパリパリとはがれていきました。
山道で轢いてしまったもの
バイクの運転に慣れてきて、長距離のツーリングもするようになったころのことです。
ひとや車のあまり来ない道を走ったり、カーブが続く道を走ったりと、普通の整備された道路から外れたところにも足をのばします。
そんなとき通った山道は、木の枝などが落ちている道でした。そこを通っていると、後ろから彼がついてきません。
止まってみたら、彼がようやく追いついてきました。
「あなた、今へびの上を走っていったよ」
うぎゃー!
「グルグルと回っていたから、道の外に出ていくまで待ってた。かわいそうに」
木の枝を乗り越えたと思っていたのに、生き物を轢いた感触だったんです。あとから考えるととてもうぎゃーっです。
あの感触は今でも時々思い出します。
橋の手前で交通事故にあう
これは命にもかかわる怖い体験になってしまうのですが、バイクで彼とツーリングしていた時のことです。
橋の手前でウインカーを出さずに進路変更をした前方の自動車と接触、転倒しました。
その結果、右膝の前と後ろの靭帯を切る大けがをしてしまいました。
救急車で運ばれて手当をしていただいたあと、彼のお母様のお世話になって千葉の病院に入院することになるのですが、事故に遭った群馬県の病院から千葉までタクシーで向かう時に、運転手さんから聞いた話です。
「こんなことをいうのもなんなんですが、事故に遭ったのが橋の手前で本当によかった」
「え?」
「あの橋は群馬と埼玉の県境にあるんで、あの上で事故が起こるとどちらの県の管轄になるかもめることがあるんですよ」
「そうなのですか」
「それで救急車がくるのが遅れたり、そうなると助かるのも助からない場合が…」
こわい…
本当に運がよかったです。
この事故のあとはバイクに乗るのは止めてしまったのですが、バイクを操ることは本当に楽しい経験でした。
目の前にあるカーブを走りきるために、最適ギアに落とし車体を傾け、適正スピードで走り抜ける。そのあと車を起こし、アクセルを開けて加速する。
一連の動作が自然にできて、バイクが思う通りに操れた時の快感はすごいです。
自分を物理的にも精神的にも、遠い場所に運んでくれるバイクは今でも大好きです。