今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
お題をみてまず浮かんだのが、母方の祖母の顔です。
わたしが幼稚園に通っていた頃、母が長期入院をしていた時期がありました。
その時近くに住んでいた祖母のところにわたしは預けられ、一緒に暮らしていました。
今でも時々思い出すのが、朝なかなか起きられないわたしに祖母が用意してくれた朝ごはんです。
それは大きな丸いくるみパンでした。
くるみパンの生地は、あんパンとおなじような柔らかくてふかふかしたものでした。
あんパンと違うのは中身が、くるみの実をザクザク切ったものとザラメ糖が混じったものというところです。
祖母はいつもそのパンをトースターで焼き、中のザラメが溶けかかったくらいのところで取り出して、新聞の折り込み広告に挟み込みます。
そして上から手でぎゅっと潰します。
くるみパンはうすく潰れてさらに大きな丸になり、くるみの油と溶けかかったザラメが皮からにじみ出ています。
そのうすいパンを手で半分に切って、温めた牛乳を添えてわたしに出してくれました。
「潰すとね、全体にくるみが行き渡っておいしいよ」
といつも祖母はいっていました。
指でパンをちぎって口に運ぶと、パンの表面はカリカリと香ばしく、くるみとザラメが口の中でじゃりじゃりと混ざり合います。
とにかくあまい甘いくるみパンでした。
当時は食が細かったのと、甘すぎたせいで一口二口しか食べられなかったのですが、あの甘さと口当たりは忘れられない記憶です。
祖母はわたしが長男を出産する数か月前に亡くなってしまい、ひ孫の顔を見せてあげられなかったのが残念でなりません。