今週のお題「大人になってから克服したもの」
いままで生きてきて、自分の中で大きく変わった部分と考えたら…ありました。
ずっと、子どもと接するのが苦手でした。
それが克服できたのです。
子どもに関わる職業には就きたくない
子どもは「こわい」という意識がありました。
どう接していいのか、何を考えているのかわからないという思いがありました。
なので将来の職業を選択するときにも、「教師」という選択肢は考えていませんでした。
結局、わたしは管理栄養士という職業を選択しました。
資格を取るために学ぶ学校によって、実習先はいろいろなのですが、わたしの場合は、病院・保健所・小学校・自衛隊の4つの中から3つを選ぶというものでしたので、消去法で小学校以外を選びました。
小学校で「先生」と呼ばれる自分は想像できなかったのです。
結婚、出産を経て
大学時代知り合った彼と結婚しました。
社会人として5年勤めてから専業主婦になりました。
主人はとても子ども好きなひとです。
一方わたしは、子どもを作ってもその子のことを好きになれなかったらどうしようというという漠然とした不安がありました。
あるとき主人が
「子どもが好きになれるか不安だったら、あなたが好きだという猫を飼うことから始めてみたら?」
この一言から、わたしは一歩を踏み出すことができました。
猫を飼いだしてから、自分の中にあるいろんな感情に向き合うことができたみたいです。
猫はかわいい、世話は大変、でも可愛い。
生きものだから、自分の思い通りには動いてはくれない、でもかわいい。
いつのまにか、子どもがほしいと思うようになっていました。
とはいえ、第一子の妊娠・出産・育児は大変でした。
初めてのことだらけで、余裕も自分の時間もない。
必死に子育てしているうちに、第2子を妊娠。
3つ違いの男の子2人の母親になりました。
生まれたばかりの二人目の子の、くしゃくしゃの顔を見たとき
「ああ、かわいい!」
とまず思いました。
「子どもが苦手・嫌い」という呪縛から、解放されたんだと感じた瞬間でした。
自分の子どもが可愛くなったのと同時に、周囲の子どもも同様にかわいく思えてきたのは不思議です。
知らない子でも可愛いから、悪いことをしたときにはしっかり叱る、おせっかいおばちゃんがひとり誕生しました。
子どもクッキングの講師をして
NPO法人の活動をしていて、縁があって小学生対象の料理講習会の講師をする機会をいただきました。
なんだかんだで20年、子ども達から「先生」と呼ばれる時間を過ごしました。
そこでは、いろいろな子ども達との出会いがありました。
ある女の子がわたしに、怒ったように言ったことがあります。
「せんせいー! 歌わないでー」
その子が真剣に作業していたとき、わたしが鼻歌を歌っていたようです。
「まーだまーだ、よく混ぜて。切って切ってあと混ぜて」
(…みたいな歌を)
自覚していなかったので、びっくりしました。
子ども達に料理を教えるのではなく、一緒に料理を楽しんでいたことがよく分かりました。
小2から参加してくれた男の子。
送迎の父兄の方によると、そのお子さんは学校になじめず、保健室登校をしているとのこと。
料理をすることが好きな子なので、この教室に連れてきましたというお話でした。
挨拶する時も目を逸らしながら小さな声でする男の子で、自分からは話すことはありませんでした。
あるとき、その子がわたしの白衣の袖を引きながら、ペタペタと卵についていた賞味期限のシールを張り付けてくるではないですか。
(あれ、なついてきてる)
猫がじゃれてくる時のような感情が湧き上がってきました。
それからその子は、寡黙ながらも他の子ともふざけ合ったり、新しく来た子に道具の場所を教えたりなど、どんどんみんなの輪に入ってくるようになりました。
数ヶ月後、その子が普通に登校できるようになったと親御さんから報告を受けました。
学校でもない、家庭でもない、この料理教室に居場所ができたことで、その子の世界が広がったのはとても喜ばしいことだと思います。
自分の一番なりたくないものはなに?
「自分の一番なりたくないもの(職業)が、一番向いていること(職業)」という言葉を聞いて、そんなことあるの? と思っていました。
でも、先生と呼ばれる呼ばれる仕事にこれほどのめり込むとは、予想外でした。
子どもを好きになって、ほんとうに良かったです。