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楽しい毎日と、あとちょっと食のお話

ろびんのお部屋です。管理栄養士なので、栄養関係の話を中心にして、仕事の話、家族の話、読んだ本の感想を書いていきます。

家庭でできる食中毒予防 -お断りして、隙を見せずに、それでもダメなら直接対決

きのうこんなニュースが流れていました。

富山県で起きた食中毒ですが、原因は全部の施設で共通して提供された牛乳と特定されたようです。

これは業者の工場で発生しているので、個人で防ぐのはかなり難しいです。 

 

最近はノロウィルスなどによる冬の食中毒も増えていますが、それでも6月から7月にかけては、ほんの少しの油断で食中毒が発生してしまいます。

食中毒は命に関わるケースもあり、決して甘く考えてはいけません。

 

実は食中毒が一番多くなるのは10月というのが厚生労働省の統計で出ています。

夏バテして体力が落ち、免疫力が低下しているところに、大きな気温の変化も加わり体調を崩しやすいことや、秋は行楽シーズンですから、バーベキューや運動会、お祭りなど野外での食事が増えることも影響しています。

 

食中毒の原因

食中毒は、食べたものに有毒な物質がついていたことで起こります。

細菌やウィルスだけでなく、自然に存在する毒物や、寄生虫も食中毒として扱われます。

 

 

梅雨時、夏に多い細菌性の食中毒

令和2年(1~12月)に発生した食中毒の発生原因は、約6,5割が細菌、約2,5割がウイルスでした。(農林水産省

 

梅雨時期(5月~6月)と夏(7月~9月)は湿度や気温が高く、細菌が増えやすいので、細菌性の食中毒の発生件数が増加しています。


冬(12月~3月)には細菌が増えにくい環境でもあり、ノロウイルスなどのウイルス性の食中毒の発生が多くなります。

 

春や秋には、山菜やキノコなどを採って食べることが増えるためか、他の時期に比べて、自然毒による食中毒が多く発生します。

道の駅で売っているもので中毒した例もあるので、注意が必要です。

 

細菌やウィルスは、まな板に付いていたとしても肉眼では見えません。

しかし目に見えなくても、あり得る可能性をつぶしていくように対応することで、食中毒は予防できます。

 

食中毒予防の三原則

食中毒予防の基本は、「つけない、増やさない、やっつける」です。

「つけない」は入口戦略、

「増やさない」は環境管理、

「やっつける」は直接対決です。

具体的にはどうすればいいのでしょうか。 

食中毒菌をつけない 

食中毒菌が食品につかなければ、食中毒は発生しません。

細菌が食品につくのは、手や調理器具で触れるときです。

 

手や包丁、まな板や菜箸などは、扱っている食材が変わるたびごとに洗ったり、消毒しなければなりません。 

  • 調理を始めるとき
  • 生の肉や魚、卵を取り扱うとき
  • 調理中に手に雑菌が付く可能性がある行為をしたとき(トイレ、電話、子どもやペットの世話など)
  • 調理が終わったとき
  • 残った食品をしまう、あるいは捨てるとき

 

特に注意しなければならないのは、生で食べる野菜に生の肉や魚が触れることです。

生の肉や魚を捌いたまな板は、洗うだけでなく熱湯をかけて消毒したいです。

料理番組でも時々生肉を捌いた手で生野菜を並べたりしているのを見かけます。

目を覆いたくなるのですが、プロでもこのあたりがいい加減な場合があります。

 

わたしが集団給食施設で働いていた時、上司の口癖が「2次汚染絶対ダメ!!」でした。

肉と野菜のまな板を分けることだけではなく、そもそも肉汁の飛沫が飛ばないように調理する場所を離して、肉や魚類から生食するものへの汚染(2次汚染)が広がらないことが、なにより大事だったからです。

 

生食するものは先に洗ったり、切ったりします。

そのあと肉や魚の調理に取り掛かるなど、家庭でも料理の手順を工夫することで、食中毒の防止に大きな効果があります。

 

食中毒菌を増やさない

細菌の多くは高温多湿の環境で、増えてしまいます。

細菌を増やさないためには低温保存が大事です。

10度以下で菌の増殖がゆっくりになり、-15度以下で増殖が止まります。

食材を買い物をしたあとは、できるだけ早く家の冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。

家庭で調理済みの料理も同様です。

特に夏場は煮物やカレー、味噌汁などが余った場合、ある程度冷やしてから冷蔵庫にしまいましょう。

 

食中毒菌をやっつける

加熱処理が効果的です。

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。

食品の中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。調理器具も洗浄後に熱湯をかけて殺菌しましょう。 

 

調理器具の殺菌にアルコールがよく使われますが、アルコールで除菌できる菌は限られています。

すべての食中毒菌に効くわけではありません。

さらに、食品に噴霧して使うわけにもいきませんので、煮たり焼いたりの加熱が必要です。

 

調理済みの料理を再加熱して食べるときにも、注意が必要です。

カレー、シチュー、肉じゃが、あんこなどは、具材の中心まで高温になるように火をいれましょう。

粘度があるものは、低温で時間をかけてかき混ぜながら火を通すことが大切です。

これらの料理は給食施設で大量に作られることが多く、かつ食中毒が発生しやすいメニューになっています。

 

消費期限切れのものは捨てましょう。

「前に消費期限切れのものを食べても大丈夫だったから」は運がよかっただけです。

食品が変質してしまい、食中毒より 体に害となる場合もあります。

 

できることはやって食中毒を防ぎましょう

食中毒は、かかってしまうと何日も激しい痛みや不調を感じます。

食べ物だけでなく、水を飲んだだけでも嘔吐や下痢が止まらなくなることもあります。

「たいしたことないだろう」という思い込みはなくして、できることはやって防ぎましょう。