先日、最後の子どもクッキングのご報告をさせていただきました。
講義や調理、片付けが終わったところで、修了証書をひとりひとりに手渡し、手編みのエコたわしをプレゼントして、わたしの最後の料理講習会が終わりました。
エコたわしと修了証書
中身が見えない袋に入れて、じゃんけん大会で勝った子からつかみ取りしてもらいました。
全員に渡ったら一斉に袋から出してもらいます。
10人全部違うものを用意していたのですが、お互いに当たったものを見せ合って
「全部いいね!」
と言ってくれたので、ほっとしました。
「修了証書」は、調理しているところ、作った料理などを今まで撮ってきた画像の中から選りすぐったのものを貼り付けて、毎年作っています。
6年間続けてきた子などは、画像が多すぎて選ぶのが大変でした。
仲間と楽しんでいるところや、とびっきりの笑顔の画像をたくさん散りばめて、その子だけのスペシャルな修了証書ができあがりました。
きっと、家族も見たことのないその子の表情が入っていると思います。
最後のお別れ
一通り片付けが終わると、わたしの前に受講生と父兄の方がいらして、列ができました。
「いままでありがとうございます。」
「いつもクッキングの日がくるのを楽しみにしていました」
「ほんとにどれもおいしくて、家の定番料理が増えました」
代わるがわるお礼のお言葉をいただき、ありがたいです。
お母さんが話している間、うつむいたままの女の子もいました。
わあ、泣かないで…
この講座でいちばん始めに作ったのが「ミニケーキ」だった男の子。
「おばあちゃんがぼくの作ったケーキ、おいしいっていってくれて」
「初めてつくってくれたケーキが家族みんなに好評で、それからあのケーキのレシピがわが家のレシピになりました」
この家族の反応が、この子のがんばるきっかけになったようです。
わたしの話をしっかり聞いて、真面目に調理に取り組んでくれました。
「あのレシピファイルはこの子たちの宝物です」
と姉妹で通ってくれた子のお母さん。
6年間通って、3冊のレシピファイルを持っている女の子もいます。
あるとき、その子が家からそのファイルを持ってきて、新しい子に見せて自慢していました。
あとから参加した子もレシピがどんどん溜まっていくのが、うれしかったようです。
お手紙をくれた男の子がいました。
「将来ぼく、コックになりたいです」
という言葉と一緒に。
「このお手紙、いま見ていい?」
「…あとで読んで」
恥ずかしそうな顔がかわいかったです。
家に帰って読ませてもらうと、お礼の言葉と一緒に
「はじめて作った薄焼き卵、先生にうすくて上手だねとほめられて、とってもうれしかった。」
とありました。
家庭でもない、学校でもない場所で、その子のいいところを見つけてほめることは、とても大事なことだと考えて実行していたつもりです。
でも、実際に伝わっていたのが分かって、講師をやってきて本当によかったと思いました。
わたしの方こそ、一緒に料理を作ってきて、とても楽しかった。
みんなありがとう、という気持ちでいっぱいです。
子どもクッキングの卒業生で、夢をかなえてパティシエになった女の子がいます。
どうしたら先生のような栄養士になれるの?
と聞いた子もいました。
将来、食に関わる仕事についてくれるとしたら、それは本当にうれしいです。
でも
「自分の食べるものに関心を持っている子。料理を作って食べてもらう楽しみを知っている子。」
でいてくれれば、それで充分です。
みんなのこれからの人生の一部に、このクッキングでの経験がなってくれれば、これ以上の喜びはありません。