特別お題「わたしがブログを書く理由」
わたしはお米を炊くとき、多めに炊いて、残った分を冷凍しておきます。
多めに炊いた方がおいしくなるし、冷凍ごはんにして解凍しても、味がそれほど落ちないので、時短の意味もあってそうしています。
きょうの夕食は解凍ごはんを使ったのですが、ちょうどストックがなくなってしまいました。
「冷凍ごはんが切れたわ」
「へぇー。切らさないようにしてるんじゃなかったっけ?」
「お昼にカレーを出したとき、おかわりした人がいたでしょ?」
「へー、そんな奴がいたのか。じゃあ、しょうがないね」
おかわりしたのは、もちろんこの男です。
まあ、次にごはんを炊くときに、多めに炊けばいいでしょう。
そんなことがあった後、お風呂も済ませてまったりしていました。
主人がなにかそわそわしています。
「? どうしたの?」
「きょうは牛丼を食べていい日じゃなかった?」
寝る前に牛丼を食べようというのです。
これは何としてもやめてもらいたい主人の悪癖なのですが、大学時代、飲み会明けに誰かの家に行き、夜に吉野家の牛丼をテイクアウトして食べたという記憶から、時々無性に食べたくなるらしいのです。
食べた次の日に体重が激増するわけでもないので、これは懐かしいムーブメントの一つとして容認しています。
しかし、主人は一つ忘れています。
「あの、ごはんがないんだけど」
え、という顔をした主人が次の瞬間に言った言葉が、
「あれは伏線だったのか!」
一瞬意味がわかりませんでした。
「あんなふうに伏線を張られていたとは! ああ、どうして気がつかなかったんだろう!」
わかりました。夕飯の時に私が何げなく言った、冷凍ごはんがなくなったということです。わたしは思わず噴いてしまいました。
「伏線て… リアルな人生に伏線なの?」
「これが伏線以外の何だっていうんだ。あなたは私がきょう牛丼を食べたくなるなんて思っていなかっただろう?」
「うん。そうだね」
「展開に無理もなく、さりげない一言に私の欲望を抑えこめる伏線を仕込んでおくなんて… 脱帽だよ」
どうやら、これから米を炊けというほどの暴言を吐く気はないようです。よしよし。
「なんて鮮やかな伏線なんだ… これは脱帽して頭を垂れるしかない。見事だよ、奥さん」
わたしは自分のあずかり知らないところの実績で褒められているようです。でも、そう言われてみれば、そのような気持ちが心のどこかに潜んでいたような…
そんなわけはありません。
「いや、これからはもっと注意してあなたの言動に注意を払っておかなければ。いつまた伏線を仕込まれるかわからないからねえ」
すっかり笑わされてしまいました。
主人の現実に虚構をぶちこんでくる考え方、わたしはけっこう好きです。
現実が、実際にある以上に色づいてきて、まるで架空の世界で起きている素敵なことのように感じられてくるからです。
本当に飽きないな、この人といると。
私がブログを書く理由
私がブログを書く理由は、まさにこれです。
私が思いもつかないようなことが、現実世界では起きています。
世界は驚きに満ちている。
これを多くの人と共有したくて、わたしはブログを書いているのです。
明日はどんな驚きが待っているのでしょうか。