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楽しい毎日と、あとちょっと食のお話

ろびんのお部屋です。管理栄養士なので、栄養関係の話を中心にして、仕事の話、家族の話、読んだ本の感想を書いていきます。

新生活で削られないために必要なのはもう一つの居場所

お題「#新生活が捗る逸品」

「新生活」という言葉は、とてもうきうきした気分にさせてくれます。

新しいことが始まるとき、これまでとは違った世界が開けるとき、初めて一人暮らしを始めるとき。

半面、初めての暮らしは、これまで経験したことのない不安や重圧も運んできます。

新しい学校や職場が思った以上につらいことが多かったりすると、新生活に期待していたはずの前に進もうとする気持ちが損なわれ、時にはすべて投げ出したてしまいたくなってしまいます。

そのようなときに新生活を救ってくれるのが、「もうひとつの場所」です。

我が家の事例

子どもが中学校の時に、通っていた公文の先生が言ってくれたのですが、

「〇〇くんはとてもお父さんを尊敬しているんですけれど、家と学校以外にもう一ヶ所、居場所があるといいと思うんです」

「?父親が厳しすぎるっていうことでしょうか?」

「いえ、お父さんは今のままでいいと思うんです。本当に厳しくてきつかったら、第三者であるわたしに『助けて信号』を出してきます。問題なのは、ご両親に気に入ってもらいたくて、がんばりすぎてしまうことなんです」

「ああ、わかりますね」

「学校と家だけが居場所だと、その助けて信号を出せる場所が作りにくいんです。そういう子はけっこういて、うちでも相談にのったりしたことがあります。いい子ほど抱え込んじゃうんですよ」

「なるほど…」

「メインの生活の場所以外に、メインの場所とつながっていないところがあれば、ガス抜きになったり、いざという時に逃げ込めるんです」

このアドバイスはとても考えさせてくれました。

主人とも話をして、子どもとの付き合い方をいろいろと考えてみました。

 

さいわい、主人は人と話をするのが好きで、子どもたちとも私より深くコミュニケーションをとっていたので、おかしなことにはなりませんでした。

わたしが落ち込んでいるときも、主人はすぐに気が付いて、さりげなく、わざとらしく、こちらが傷つかないようにアプローチしてくれます。

あまりに距離感の取り方がうまいので、わたしが逃げ込む場所は主人のところだけあればいい感じで… てへっ。

冗談はさておき、主人がとても真剣に子供に向き合ってくれたので、悲劇は起こらずに済みました。

公文の先生はとてもいい先生で、勉強以外の部分でもこんなアドバイスをもらえて、本当に助かりました。

もう一つの場所

学校と家の往復や、職場と家の往復だと、煮詰まり、追い詰められたときに、いつもいる場所に原因があった時に逃げられる場所がありません。

部活動をしたり、サークル活動に参加するのにはその逃げ場を確保する意味もあります。

部活動に学年やクラスの違う子がいれば、そこで息がつけます。

職場と関係のない人が大勢いるサークルにいれば、愚痴を言って発散することもできます。

でも、これもなかなか難しいのはわかります。

リアルでそういう場所が作りにくければ、SNSやブログで話のできる場所を見つけるのも有効です。

もう一つの場所としてのSNS

FacebookTwitter、LINEなど、たくさんのSNSがあります。

自分と趣味や感覚の合う人を探して、その人とコミュニケーションが取れれば、そこにも一つの居場所を作ることができます。

でも、顔の見えないSNSでは、自分の発信にかなり気をつけないと、すぐに相手が引いてしまってブロックされたりします。

居場所としてのSNSを維持するためには、悪いことを一切言わず、人を攻撃せず、必要以上になれなれしくせず、行儀よく、品よく、優しい人でいなければいけません。

うーん、これって場所を確保できても、人によってはかえってストレスが溜まってしまうかもしれません。

インターネット内で居場所を作るのはけっこう大変かもしれません。

バーチャルもう一つの場所

ここまでで絶体絶命に追い詰められた方に朗報です。

参入の敷居が圧倒的に低く、うまくはまればもう一つ、二つ、三つ以上の居場所を確保できる方法があるのです。

そんなバカなとおっしゃいますか。

本当です。

わたしはこれで10くらいの居場所を確保しています。

例えば銀河帝国の興亡を眺めていたり、

イギリスの忘れられた花園がよみがえるのを見たり、

19世紀のフランスで怪盗紳士の足取りを追ったり、

異界の12国で国が建ち、滅んでゆくのを見、

幻夢境カダスに遊んだり、

ヤナギが原で連れ去られてしまう恐怖におびえたり、

祖母の形見の着物が起こす不思議を受け入れたり、

スイスのサナトリウムで終わりのないモラトリアムを楽しんだり。

もうおわかりでしょう。

本の世界です。

 

本の世界は、没入すると、本当にその時代、その場所にいる自分を感じることができます。

映画やマンガではそこまでの没入感は得られません。

今は体力が続かなくなってできなくなってしまいましたが、若いころは読み始めた本が面白いと、そのまま次の日が明けるまで読みふけったこともありました。

現実でイヤなことがあっても、家に帰れば、または公園で本を開けば別の世界にシフトできます。

ネロ・ウルフの部下のアーチーの行動を見ていると、どんな行動が自分にとって心地よいかを知ることができ、現実にそれをあてはめられないかを考えたり、不如意な状況をやり過ごす方策を思いついたりできます。

いろいろな解決方法、考え方を知ることで、あなたの世界を容易に広げることができます。

リアルよりイヤな世界もあれば、どうしても住んでみたい世界もあります。

永遠の本の世界に住むことはできませんが、リアルな世界の解釈をし直すことはできるのです。

追いつめられたときに

追い詰められているときに、まじめな人は「逃げちゃだめだ」などとバカなことを考えて、いよいよ自分を追いつめてしまいます。

死にたいなんて考えるようになったら、逃げましょう。

自分がダメでうまくいかないことがあっても、死ななければならないほどのことは一つもありません。

誰かによく思われるために、死ぬほどがんばるのはやめましょう、

誰かに言われたから、こうしなければならないと思うのはやめましょう。

 

追い詰められたときに、ちょっと踏みとどまれる環境を維持するために、もう一つの場所を確保しましょう。

嵐はいずれ去り、陽はまたさしてきます。

これは私が保証するので、逃げるべき時には全力で逃げられるように、メインから外れた場所に少しの間、身をひそめましょう。